EVの普及率が高いノルウェー
EVは冬場や寒冷地が苦手とされています。
気温が低くなると、バッテリーにかかる負荷が大きくなるからです。
ところが、そんな事情がありながら、世界で最もEVが普及しているのは北欧諸国だということをご存じでしょうか。
特にノルウェーでの普及率は突出しています。
2021年には17万台以上の新車が販売されたのですが、そのうち約65%がEVで、PHEVを含めると約86%という高い普及率になります。
一方、内燃機関エンジンの車は約14%と非常に少ないのが特徴です。
日本ではEVの販売率がわずか1%ですから、とんでもない違いであることがわかります。
EVにはリチウムイオンバッテリーが搭載されていますが、気温が低いとパフォーマンスレベルが下がってしまうのが弱点です。
また冬場に車内で暖房を付ける場合、ガソリンエンジン車ならエンジンが発する熱を再利用できますが、EVだとそうはいきません。
暖房を使用すれば、その分だけ航続距離が短くなってしまいます。
豪雪で車が立ち往生しようものなら、すぐさま電欠でにっちもさっちもいかなくなるリスが大いにあるのです。
政府がEVを強く推進している
なぜそんな不利な環境なのにノルウェーでEVが普及しているのかというと、それはノルウェー政府が大々的にEVを推進しているからです。
政府は、EVの購入時の税金や輸入時の関税を免税としています。
そのため、ガソリンエンジン車よりEVの方が安く買えるようになっているのです。
また、気になる充電設備もノルウェーは日本などと比べて非常に整備されています。
ノルウェー全土に15,000か所の充電設備がありますが、これは人口割合で比べると日本の約20倍にも上ります。
加えてEV専用の車線や駐車場の整備も進んでいるため、ノルウェーの人は日本人よりEVを選びやすい環境なのです。
では、なぜ政府はEVを推進しているのでしょうか?
それはノルウェーのエネルギー事情が関係しています。
ノルウェーは石油など化石エネルギーの豊富な国ですが、国内で使用する電力をまかなうのはほぼすべて再生可能エネルギーです。
化石エネルギーは外貨獲得のために輸入しています。
いくら化石エネルギーが豊富でも、いずれは枯渇してしまうでしょう。
もし化石エネルギーに依存していてそれが枯渇してしまうと、国家として命取りです。
ノルウェーでは、そうならないように早くから再生可能エネルギーの開発と普及を進めてきました。
その結果、今では再生可能エネルギーだけで国内で使用するのに十分な電力を作れるようになったのです。
また、電気は貯めておくのが難しいので、なるべく余剰電力を出さないように発電した電力をEVに使っているという理由もあります。